第 31 回 コロナ第7波の中で、飲食店が目指すべきこと
2022.08.05
危惧されていた新型コロナウイルスの感染第7波が、未曾有の規模で拡大しています。
またWHOの集計では1週間当たりの感染者数も、2週連続で、日本が世界最多になったことが確認されました。
先月10日に外国人訪日客が入国再開となり、新規感染者数も減少傾向にあった為( 現在の7%程 )、飲食業界はやっとコロナ以前に戻るかと意気込んだ矢先のこの急変です。求人が人材争奪戦の様相を呈したばかりなのに、客足に影響が出て宴会などのキャンセルも相次いでいることに、業界も私も動揺しています。
100年前のスペイン風邪は約3年で、ウイルスが消えた訳ではないのに終息しました。世界人口の約30%の感染者と4000万人~1億人とも推定される死者を出し、人類は集団免疫を獲得したからだと言われています。
一方、新型コロナは多くの国がウィズコロナに舵を切り、我が国も仮に新規感染者が今後さらに増えたとしても、行動制限は求めない方針が定着しそうです。また感染法上のコロナの扱いも、2類から5類への変更へと動いているようにも感じます。ただ、日本の行政のすることですから、形は変わるけれど実効性が無いものになってしまうような気もします。システムだけは作るけれど、実効性が伴わないのは日本のお家芸です。安倍晋三元首相の銃撃事件でも、警備体制はシステムだけ有って、肝心な時に機能しませんでした。しかもこれもお家芸ですが、誰も責任を取りません。私は、古来日本では必要な総括が行われない為、システム作りや制度設計に問題が生じてしまうのだと考えます。
今や治療だけでなく、検査を受けたい人でさえ検査が受けられず、重症者までもが救急搬送してもらえない状況になっています。今後さらに感染第8波、あるいは未知の感染症によるパンデミックが起きる可能性さえあります。医療の逼迫・崩壊を終わらせる為には、小手先の政策変更ではなく、必要ならば感染症対策分科会の刷新断行も含め、抜本的な事態打開を目指すべきだと痛感いたします。
さて、翻って私達飲食店ですが、やはりこれまでの総括を、改めて行うことが不可欠だと考えます。
先ずは『 感染症と共存する時代 』に如何にしてお客さんに安全と安心を提供できるか、これをお客さんの目線でクリアすることが、健全な継続営業を実現する為の一丁目一番地になります。つまりお客さん本位 ( 従業員さんも内部顧客です ) に考える姿勢が、全てにおける基本原則なのです。
これから先の人口減少は、従来以上のペースで進みます。従って、お客さんが益々厳しく店を選ぶ時代になってゆきますから、ご自分が常連客になりたくなる様なお店作りをしなければ、淘汰されることになってしまうのです。
確かにコロナ第7波で客足が減る中、狭くて衛生面も芳しくないのに、賑わっている店が存在します。しかしそういう店は人件費を抑えて商品単価を下げたり、無理な薄利営業をしているケースがほとんどです。その様な店は、決して長続きはしません。適正な利潤を上げそれを従業員さんに還元し、必要なコストを無駄なく適切に使ってこそ、お客さんから支持されるお店を運営し続けられるのです。
従業員さんにとって働き甲斐のある職場環境で、世間に比べて納得できる給与( 処遇が同業他店より低いとプライドを持てず、生活の満足度も下がります )であれば、お客さんに対して行き届いたお店になってゆくのは必然です。
以下に、『 健全な継続営業 』に必要な要件を記しておきます。
現在は第7波やインバウンド回復前夜で、従業員さんとのコミュニケーションの時間を捻出し易いタイミングです。せっかくのチャンスですから、できる限りの準備をなさるようお勧めいたします。
1,なぜ飲食店経営をするのか、理念と創業の精神を、改めて念頭に置く。
1,自分一人では何もできないことを、肝に銘じる。
1,お得意先とは、従業員さん、顧客、出入り業者さん。その全てを、不可欠なお得意様と考える。
1,経営者やリーダーが、常に率先垂範を心掛け、鋭意実行する。
1,人間にとって一番大切なものは『 思いやりの気持ち 』であることを、お店の全員で共有する。
1,常に改善の材料を探し、従業員さんとお客さんの幸せを創出することを考え続ける。
1,笑顔と元気で周囲を明るくし、感謝を気持ちだけでなく、心から口に出して伝える。
1,辞めてゆく従業員さんに対しても、誠意を尽くす。
1,徹底的に従業員さんの話を聴き、その際には必ずメモを取る。
次回はもう一歩掘り下げ『 人としての、原理原則を守ることの重要性 』と題し、お話しをしたいと思います。